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ひとつに留まれない私の日々やフラワーエッセンスのこと


by drop-flower

『スピリチュアルにハマる人、ハマらない人』

『スピリチュアルにハマる人、ハマらない人』_f0017368_011332.jpg『スピリチュアルにハマる人、ハマらない人』
精神科医である香山リカさんの著書です。
実は彼女の著書は1冊も読んだことがなく、ご本人についても、精神科医の恋愛論を説く人という印象くらいしかなかったのですけれど、帯の「江原さんのこと①大好き! ②インチキ! あなたはどっち?」というキャッチフレーズにそそられ買ってみました。

この本では、スピリチュアルな世界がブームとなっている今日を、客観的に社会背景を盛り込みながら、少しの批判も交えて、スピリチュアルブームを分析していらっしゃいます。
単に批判するのではなく、社会的客観性を持ち得ながら語る方がいらっしゃるということは、今の世の中、大変重要なことと思います。

個人的な意見としましては、スピリチュアリズムが、市民権を得始めていることを喜ばしい感じる反面、それがただの逃避する場となったり、また他力本願的な信仰心だけが培われていってしまうのではないかという思いもございます。
「第4章スピリチュアルで癒されたい」で、香山さんが語る中にこのような言葉がありました。少し長いですが、引用させて頂きます。


『「どうすれば変われるんでしょう?」とおずおずとカウンセラーに問うてくる彼女たちが求めているのは、「そのままでいいですよ」「自分をもっと好きになれば道は開けます」という受容、肯定、慰めの言葉なのである。私が悪いのだから、厳しいトレーニングでも何でもして自分の心を鍛えたい、と覚悟して、彼女たちはカウンセラーのもとを訪れるわけではないのだ。
それに、人生で一定の努力とそれに見合った結果を得てきている年上世代なら、飯田氏(経営学の研究者)に、「すべては自分で選んだのだから、修行だと思って喜んで苦難を受け入れなさい」と説かれて、すんなり受け入れることもできるかもしれないが、いまの若い人たちをめぐる状況はよりシビアだ。
(中略)
このような状況(一生懸命働いても生活水準の上昇が見込めない人がいるというのも事実)の中で、それさえ自分で選んだのだから心して受け入れろ、と言われても、これから四十年も五十年も続くと思われる低生活水準の人生を「自己責任だ」と引き受けることなど、多くの人には不可能ではないか。
江原氏の読者の中心層と思われる二十代から四十代の女性たちは、とかく内向き志向で自責的になりがちだが、自己責任ですべてを引き受けるほどの強さはなく、どこかで「悪いのはあなたじゃない」「そのままでいい」と、許され、受け入れられることも望んでいる人たち、とまとめることもできるだろう。


スピリチュアルリズムに首を突っ込み始めた当初、正に私はこのような感じでありまして、自己と向き合っているつもりでも、その実はただスピリチュアル思想というものに逃げ場を求めていた部分があったと今にして思えばそう感じます。

ヒーラーやヒーリンググッズは、「癒してくれる存在」であり、当の本人は何もしなくても癒されるのだと思っておりました。完全な他力本願精神ですね。
確かに彼らは、表面の薄い薄い膜を取り除いてはくれますけれども、核となる部分はやはり自分が理解をし、癒してゆくものではないかと少しづつ感じるようになって参りました。
そのような時間を共有するセラピスト、サポートしてくれるヒーリングツールというのは、心強い「旅のお供」的な存在でありました。

社会的背景も影響していると思うのですけれど、香山さんがおっしゃる二十代~四十代の女性たちは、内面の強さに欠けている部分があるのかもしれません。
私とて例外ではありません。
けれども、強さを欠いている自分を認識し、そこで自己批判はせず、それでも少しづつで良いから自ら強さを身に付け、「自己責任」という言葉の本来の意味を学びながら体得してゆくことが、私たち世代の課題であるのかもしれませんね。


そして、最後に一言、そう遠くない未来に、西洋医学や科学、スピリチュアルリズムや民間療法、両者の融合と調和が取れていく時代になってゆくことを願うばかりです。



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by drop-flower | 2006-12-09 01:54 | Books/Cards